Home > イキテレラ | パロディ小説 > イキテレラ 16

イキテレラ 16


イキテレラは城の一室に留め置かれた。
潰した王家の最後の妃をどうするか、意見が分かれたからである。
 
部屋には、王の形見だという品々が置かれていた。
その中に光るものがある。
ふと見ると、ガラスの靴だった。
 
あら・・・
イキテレラは、思わず靴を手に取った。
 
「今まで思い出してくれないとは、冷たいねえ。」
誰もいないはずの背後で声がする。
 
 
「・・・わたくしにかけた呪いを解いてくださいませんか?」
振り向きもせずにイキテレラが言う。
魔女はヒッヒッヒッと笑った。
 
「何だい、そんな風に考えていたのかい?
 あたしゃ、あんたに奇跡をひとつあげただけなんだがねえ。」
「どういう “奇跡” ですの?」
「カボチャを馬車に、ネズミを馬に、だよ。」
 
 
イキテレラは、ふう と溜め息をついた。
「本当なんだよ?」
「もういいですわ。」
 
「それより、あんた、処罰されそうだよ。
 王の処刑の時のあんたの態度はマズかったねえ。
 あの立派だった王子をたぶらかしたあんたは
 魔女だ、って話にいっちゃってるよ。」
「もういいですわ。」
 
「何なら、もう一度だけ “奇跡” をあげようか?
 ちょっと責任を感じるしね。」
「もういいですわ。」
 
イキテレラは、同じ返事を繰り返した。
その姿はごく自然で、何の気負いも見受けられない。
 
 
「そうかい?
 じゃあ、あたしは行くよ?」
「魔女さま、ご機嫌よう。」
 
魔女はその言葉にニヤッと笑った。
「あたしゃね、実は魔女じゃあないんだ。
 成り行き上、そう名乗ったがね。」
老婆がイキテレラの顔を覗き込んだ。
 
 
「あたしゃ、単なる “観察者” なんだよ。
 あんたは稀有なプレイヤーだったよ。
 良い経験をさせてもらったよ、ありがとね。」
「そうですか、喜んでいただけて何よりですわ。」
 
「ん? 質問とかないのかい?」
「疑問は希望を持つ者の特権ですわ。」
 
「む・・・・・。」
老婆はつまらなさそうに姿を消した。
 
 
イキテレラの希望は、あの舞踏会の夜
ガラスの靴とともに砕け散ったのである。
 
魔女が杖を振らなければ、ドミノの駒は倒れなかった。
 
 
これさえなかったら、こんな事にはならなかったのに・・・。
イキテレラは無表情で、ガラスの靴を掴む指の力を抜いた。
 
靴は吸い込まれるように床に落ちていき
透き通った音を響かせて、カケラが飛び散った。
 
 
 続く
 
 
関連記事 : イキテレラ 15 10.6.18
       イキテレラ 17 10.6.24
       
       カテゴリー パロディー小説

コメント:4

チョウチャン 10-06-22 (火) 18:52

お久しぶりです。

3日程前から イキテレラ が気になって覗きに来ています。(笑)

あしゅ 10-06-23 (水) 12:50

おおっ、チョウチャンーーー
久しぶりーーーーーー!!!!!

どうしてたー?
私は毎度いつものように相変わらずだよー。

て、何で3日ほど前www

のん 10-06-23 (水) 18:54

続きが気になりすぎます(`・ω・´)

あしゅ 10-06-24 (木) 13:10

あっ、すまん、今日これ最終回・・・。

話の方向が思い通りにならんので
早く終わらせよう早く終わらせようと
努力してたが、空気読めてなかったか?

コメントフォーム
Remember personal info

Home > イキテレラ | パロディ小説 > イキテレラ 16

フィード
メタ情報

Return to page top