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イキテレラ 14


目覚めたのは、自室のベッドの中だった。
体調と周囲の雰囲気で、すぐに自分に何が起きたのかわかった。
 
王が入ってくると、侍女たちは慌てて部屋を出て行った。
「我が妃よ、やっと目覚めましたか。
 あなたは3日も眠っていたのですよ。」
 
王は、イキテレラを抱きしめた。
「意識のないあなたはつまらない。」
 
 
イキテレラは、部屋から出なくなった。
自分のせいで、王に誰かが殺されるのが恐いからだ。
イキテレラの周囲には、最低限の人数の侍女だけが残った。
 
「部屋に閉じこもっていると、体に悪いですよ。」
王は時々イキテレラを抱きかかえて、庭を散歩した。
 
 
イキテレラの瞳は、何も映さない。
ついうっかり誰かと視線を交わしただけでも
王が激怒するかも知れないのだ。
 
「あなたの瞳は淡い空の色なのですね。」
王がイキテレラの瞳を覗き込む。
「あなたの髪が風をはらんで、まるで黄金の滝のようですよ。」
王がイキテレラを抱いて、笑いながらクルクルと回る。
 
うつろな表情の女性を撫ぜ回しながら、しきりに話しかけるその様子は
まるで人形遊びをしている変態男のようであった。
 
「あれがこの国の王の姿か・・・。」
大臣たちは、遠目にその様子を覗き見て嘆いた。
 
 
街では、王の乱心の噂が広まっていた。
天候不順で、農作物が不作だったからである。
不自由なく生活できていれば、他人の動向は気にはならない。
 
国を統べる王が不徳だから天が怒るのだ
いつの世も、民衆たちはそう結論付ける。
非科学的な理屈だが、王家の存在もまた科学ではない。
 
そしてある朝、パン屋の軒先で黒猫が死んでいた。
猫嫌いのパン屋のおかみは絶叫し、服屋のお針子は呪いだと恐れ
肉屋の主人は神の怒りに震え、酒場のマスターは時がきたと告げた。
 
 
民衆たちは憎悪の渦となって、城へと集まってきた。
王を捕えよ、処刑しろ、と怒声が響く。
門が壊されるのも時間の問題であった。
 
大臣たちは我先にと遁走した。
侍女たちは、どうしたら良いのかわからず
イキテレラの元へと集まってきている。
 
イキテレラは長椅子に座って
ボンヤリと外の喧騒を聴いていた。
 
 
 続く
 
 
関連記事 : イキテレラ 13 10.6.14
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       カテゴリー パロディー小説

コメント:2

のん 10-06-18 (金) 12:29

こ、怖いけど早く続きが読みたくなりますwww

あしゅ 10-06-18 (金) 15:14

のん、恐怖の負担をかけて本当にすまん。
あはは
 ↑ 反省の色なし?
いやいや、お詫びに次は楽しい話にするから!

・・・・・・多分・・・・・・・

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