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イキテレラ 2


義母と義姉が浮き足立っていた。
この街では、貴族の娘は適齢になると
城で開かれる舞踏会で、社交デビューをするのである。
義姉ふたりに、その招待状が届いたのである。
 
「ああ、私の娘たちがいよいよ社交界に出るのね。
 もっと派手なドレスを作らなければ。」
 
夢見心地の義母に、父が言う。
「しかし、おまえ、この前ドレスを作ったばかりなのに・・・。」
「このパーティーは特別なものですのよ!
 どこかの殿方に見初められるかも知れません。
 そのためにも、より美しく装わせて送り出すのが親の務めです!」
 
娘の結婚、すなわち持参金
それを想像しただけで、父親は腹が痛くなった。
 
 
裏庭でじゃがいもの皮を剥いているイキテレラの視界に、靴が入り込んだ。
顔を上げると、2人の義姉が立っている。
 
「ふっふーん、イキテレラ、私たち舞踏会に呼ばれたのよ。」
「おめでとうございます、お義姉さまがた。」
 
イキテレラがニッコリと微笑んで言うと
義姉たちが顔を見合わせてクスクスと笑う。
「実はねえ、あなたにも来てるのよ、招待状。」
 
「だけど」
「あなたには」
「行かせてあげない。」
義姉たちは、高く掲げた招待状に、火を点けた。
 
 
燃えながら舞い落ちる招待状を見て
ビックリしているイキテレラに満足したのか
義姉ふたりは笑い声を上げながら走り去って行った。
 
イキテレラは、燃え残った招待状の切れ端を拾った。
「ひどい事をするねえ。」
声の方向を見ると、見慣れぬ老婆が垣根の向こうに立っている。
 
「いえ、はしゃいでらっしゃるだけですわ。」
イキテレラは、事もなげに言った。
 
「あんたにも良い事があるよう、祈っといてやるよ。」
老婆はそうつぶやきながら、ブラブラとどこかへ歩いて行った。
 
 
舞踏会の日になった。
義母と義姉たちは、朝から用意で大騒ぎである。
 
手伝っているイキテレラを、父が呼び止めた。
「すまない、娘3人の仕度はうちは無理なのだ・・・。」
「良いのですよ、お父さま。
 そのような事でお悩みになると、お体に障りますわ。
 お義姉さまたちの準備はわたくしに任せて
 お父さまはゆっくり寝ていらして。」
 
「イキテレラ!」
義母の声に、イキテレラは歩き出した。
 
 
やっと今日一日が終わった・・・。
食事を取るヒマさえなかったのである。
 
義姉たちを送り出して、さすがに疲れたのか
イキテレラがベッドでウトウトとし始めた時
窓ガラスがカツンカツンと鳴った。
 
その音にハッと目が覚め、窓を開けると
先日の老婆が立っていた。
 
「あんたにひとつ奇跡をあげようじゃないか。」
老婆は、ヒヒヒと笑った。
 
 
 続く
 
 
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