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2012-07

継母伝説・二番目の恋 11

「あたしのお友達。」
 
事務室で書類を探す公爵家の娘の背後で
少し息切れしつつも、弾んだ軽やかな声がする。
 
公爵家の娘はまず作り笑いをして、それから振り向いた。
「王妃さま、どうなさいましたの?」
 
王妃は用があるならば、その者を呼べば良いだけである。
だけど、その命令すら出せないらしい。
この広い城内を、どれだけ探し回ったのやら・・・。
 
 
「湖、行きたい。」
この少女は、相変わらずそういう事ばかり。
公務をしないと、王の寵愛が消えたらどうするのよ・・・。
 
胸の中ではそう思うも、“王妃さま” に、あまりキツい事も言えない。
「わかりました。
 では、召使いに命じましょう。
 誰かおらぬか?」
 
廊下に出て叫ぶ公爵家の娘の腕に、王妃がしがみつく。
「あたし、あなたと行きたい。 あたしのお友達。」
 
公爵家の娘は、突然触られた事にちょっと驚いたが
少しムッとした。
この少女はこの調子で、王にも媚びているのかしら?
 
 
「・・・今日ですか?」
公爵家の娘の冷たい眼差しに、王妃はうつむいた。
「・・・ダメなら、明日・・・。」
 
このような時には、思わず溜め息が出るものである。
が、公爵家の娘は笑顔で言った。
「わかりましたわ、王妃さま。
 それでは明日は湖で昼食を摂りましょう。」
 
王妃がモジモジとうつむいて、しかし嬉しそうに微笑む。
何て小さく可愛い少女なのだろう
王が惚れ込むのもわかる。
けど、だけど・・・。
 
見下ろすこの目の冷たさに気付かれてはいけない。
公爵家の娘は、書類を見るフリをしながら背中を向けた。
 
 
翌日、湖へとやってきたふたり。
他の者も誘ってはみたけれど、うやうやしく断わられた。
 
王妃が一緒だからだとは思うけど、このあたくしも軽んじられているようね。
公爵家の娘はイライラしていた。
 
ふと気付くと、王妃が皿を並べている。
「おまえたち・・・。」
召使いたちを睨むと、慌てて否定する。
「違います!
 王妃さまがどうしてもご自分でなさりたいと・・・。」
 
 
まるでままごと遊びをするように楽しそうな王妃に
公爵家の娘は、喉まで出掛かった説教を何とか飲み込む。
 
「出来た!」
王妃がニコニコと声を掛ける。
「この料理、あたしの国の料理。」
 
「え・・・、王妃さま自らが料理を・・・?」
更に呆気に取られる公爵家の娘の手を掴んで
グイグイとテーブルに引っ張っていく王妃。
 
 
「材料が同じじゃないから、ちょっと違う。
 けど、この料理、美味しいと褒められてた。
 どう?」
 
王妃の期待に満ちた眼差しに、お小言も言えず
仕方なく料理を口にする公爵家の娘。
 
その料理は、今までに食べた事がない味だったけど
スパイスが利いていて、確かに美味しい。
 
「あら、これは美味しいですわ。
 チキンに、こういう味付けがあるとは。
 この国では思い付かない香辛料の配合ですわね。」
 
その賞賛に、王妃は喜びのあまりに公爵家の娘に抱きついた。
「良かった。
 あたし、どうしても食べてもらいたかった。
 でも、スパイス、ない。
 でも、外で食べると美味しい。
 だから・・・。」
 
 
公爵家の娘は、一生懸命に言葉を探す少女に少し同情をした。
このお方は寂しいのだろう。
 
そうよね、南国では鮮やかな色の花に囲まれて
小鳥を指に乗せて、伸び伸びと歌っていた。
その周囲には、見守る両親らしき人や兄姉たち
飲み物を運ぶ使用人でさえ笑顔だった。
 
あの暖かい色の生活から一転
今は誰も知り合いがいない東国での、王妃暮らし。
 
東国に温情がないわけではないけれど、宮廷は政治の場。
そこで暮らすのは、東国の貴族の生活に慣れていないと辛いであろう。
 
 
あたくしも少し厳しすぎたようね。
もっと長い目で見守ってあげるべきかも知れない。
 
「わかりましたわ、王妃さま。
 お心遣い、ありがとうございます。
 さあ、一緒に食べましょう。
 これ、本当に美味しいですわよ。
 こちらのスープも、初めていただくものですわ。」
 
公爵家の娘の言葉に、王妃は嬉しそうに笑った。
 
 
 続く 
 
 
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生理の話

ババアの生理の話など、気色悪いだけだと思うけど
ちょっと凄いんで、ぜひ聞いてほしいんだ。
 
私さ、20代の頃までは周期が乱れまくってたけど
30代に入ってから、JRのごとくきっちり来るんだよ。
 
これは自己暗示ではない。
何故ならば、自己暗示だったら28日周期で来るはず。
私・・・、26日周期なんだ・・・。
 
 
先月の10日に生理が始まり
今月の7日に生理が始まったとしたら
先月の10日から今月の6日までの日数を数えるんだろ?
そういう数え方で、26日なんだよ。
 
この数え方だと、先月の生理期間も周期に入っているので
実質生理になってない日って、えらい短いんだ。
元夫も 「おまえ、いつも生理だな。」 と言っていたし
何でこんなに年中血ぃを垂らしておらにゃならんのか
これだけでも人生、結構辛いものがあるぞ。
 
 
しかも、それが毎月きっちり来る。
これも自己暗示ではない。
 
体調が悪いー、とふと数えてみると生理前で
ええっ? この前生理だったのにまた? と、落胆するし
私、毎月の生理日を手帳のカレンダーに付けてるけど
1.2.3・・・と数えて、ああ次の生理日は何日だな、と
心の準備をしていても、始まらない。
 
遅れてるんだな、でも26日短すぎるから良いか、と思いつつ
生理になって、手帳に付けて周期を数えると、きっちり26日。
何か知らんが、毎月数え間違ってるんだ。
なのに生理になるのは、きっちり26日。
 
凄くないか?
我が体ながら、不思議でしょうがないんだよな。
 
 
絶対に狂わないのか? と言うと、年に数回狂う月もあって
それがまた、見事な嫌がらせなんだ。
 
何日に予定があるけど、もう生理も軽くなってる日だろうから
何日に予定があるけど、まだ生理になっていないだろうから
 
この2つの場合、必ず生理がかぶさってくる。
自分の人体サイクルを崩してまでも、予定に水を差してくれる。
そ れ が 生 理 !
 
 
小学校の時に、「女子は全員教室に残って。」 という授業があった。
生理の話をする、例のあの会合だが
あれさ、予備知識がある前提で教師も話すんだよな。
 
私、どうしたドバカだったんか知らんけど
生理のせの字も知らない、まっさら状態だったんで
先生の話が、1時間チンプンカンプンだったんだ。
 
んで、授業が終わってから女子たちに訊き直したんだよ。
「今の話、一体何の事なの?」 って。
 
 
そしたら、「やだ、あなた何にも知らないの?」 となって
皆で親切に解説してくれたんだ。
 
もう、出血の義務ってのがショックでさ。
「でも半年に1回なんだよね?」 と訊いたら
「それは犬の話よ!」 と、怒られた。
 
こらあ! 教師、人間の生理の話に犬の例えを入れるな!
お陰で、数十年経った今でも、生理が始まる度に
犬だったら半年に1度なのに・・・、と悔やむんだぞ。
 
 
で、私がこの状態で女子たちに再授業されてたんで
教室に戻って来た男子たちも全員
生理に対する真面目な講義を耳に入れるハメになり
我がクラスでは、恒例の 「何の話だったのかなーぐへへ」 の
セクハラが1個も発生しなかった。
 
隣のクラスでは、男子のからかいに泣いた女子もいたそうなので
うちのクラスの女子たちは、私に感謝すべきだと思う。
 
 
話で聞いたら、えらい恐ろしそうなイベントなんで
実際になったらどうしよう、って不安がったら
その時はまた教えてあげるから大丈夫! と
友人たちに太鼓判を押されて心強くはなったけど
私が一番に始まったらどうすんだよ? と思っていたら
案の定、学年で3番目に遅かったらしい。
皆、何を予言してたんやら。
 
その時も、ええー、毎月ずっとコレ? と、泣きべそをかいたら
皆そうなんだから、とクラスの女子一同に慰められたさ。
 
 
うちの親が、こういう事にはネグレクトなんで
私の性知識は友人どころか、クラス中から習ったようなものだ。
 
今の性教育が、どういう状況になってるのかわからんけど
学校は、正しい知識をガンガン教え込むか
とことん放置、の二択で良いような気がする。
 
こういうのは親の義務だし
学校って結構、思想が偏っていると思うんで
教科書に載ってる事だけやっといてくれ、って感じである。
 
 
んでな、女性が一生の内に作る?卵子の数は決まってるんだと。
何個かは忘れたけど、皆同じ数だったような。
 
この話を聞いて、イヤな予感がしたけど
始まるのが遅かった分、終わるのも遅いようで・・・。
 
女性の皆、耐えて生きような。
 
 

評価:

花王


¥ 470

コメント:何年も使っとるぞー。 寝相の悪いババアだもんでのお。 しかし、工夫せんのお。 生理中の腹の締め付けはつら過ぎるってのに、いまだにワンサイズ。 夏用、冬用も欲しいな。 改良しないのは、これがそんなに売れてないからか? ちっ・・・、また少数派か・・・。

継母伝説・二番目の恋 12

ああ・・・、食べ過ぎたわ・・・。
 
普段、食べない量を食べてしまったせいで
公爵家の娘は、馬車に乗る気がせず
すぐに帰るつもりだったのを、大木にもたれて休むハメになってしまった。
隣では、王妃がスヤスヤと寝息を立てている。
 
 
細い首ね・・・
無理につけ毛を着けなくても、この子にはショートが似合うわよね。
 
・・・ではなくて、私はこの書類を読んでおかなきゃ。
念のために持ってきておいて、本当に良かったわ
ムダな時間を過ごさずに済む。
この子は気楽で羨ましいわね。
 
 
湖面は太陽の光が反射して、キラキラと眩しい。
ああ・・・、良いお天気・・・
こうやって外に出たのなんて、何か月ぶりかしら
 
なだらかな曲線の緑の山に空の青、そして湖面の白い波。
こんなに美しかったのかしら、この国は・・・。
 
 
「・・・さま、姫様」
召使いの声で、公爵家の娘は目を覚ました。
 
あら、寝てしまっていたのね、あたくしとした事が。
 
自分のその気を抜いた行為を、少し恥じたが
召使いの向こうで、ドレスをまくり上げて
湖に入って遊んでいる王妃の姿が目に入った途端
たちまち意識は怒りに占領された。
 
 
睨む公爵家の娘に、召使いたちは慌てた。
「わたくしどもは、ちゃんとお止めいたしました!
 でも、お聞き入れくださらなくて・・・。」
 
公爵家の娘は、召使いの言い訳には応えずに
立ち上がり、スタスタと王妃のところへと歩み寄った。
「王妃さま。」
 
「あ、あたしのお友達、よく眠ってた。
 天気、良い。
 水、気持ち良い。」
 
 
太陽の光の粒に囲まれた王妃の笑顔も、またキラキラとしていた。
公爵家の娘は、やれやれと微笑みながら手を伸ばした。
 
「さあ、こちらへ。 もうお城へ帰りますよ。」
「いや! もうちょっと遊ぶ。」
王妃は公爵家の娘に背を向けて、水の中を歩き始めた。
 
「王妃さま、急に深くなってる場所もありますのよ
 危ないですわ、帰ってきてくださいな
 さあ、私の手を、きゃあっ!!!」
 
バッシャーン
 
 
危ない目に遭ったのは、公爵家の娘の方だった。
岸の石に滑って、前のめりに転んだのである。
もう、全身ズブ濡れである。
 
召使いたちは青ざめ、動けずにいる。
公爵家の娘は、一度も乱した事のない髪を手ではらいながら
ゆっくりと立ち上がる。
 
「大丈夫? ケガ、ない?
 ごめんなさい、あたし、我がまま言った。」
 
駆け寄る王妃に、公爵家の娘は微笑んで優しく言った。
「大丈夫ですわ。
 こちらこそ、王妃さまにご心配をおかけして申し訳ございません。
 さあ、城へ戻りましょうね。
 貴婦人は、料理も水遊びもいたしません。」
 
 
公爵家の娘の目は、先ほどまでとはうって変わって
まるで無機質なものを見るかのごとく、冷ややかな色をたたえていた。
 
王妃はうつむいて、公爵家の娘の後ろについていくしかなかった。
 
 
 続く 
 
 
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      継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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老化報告

さて、悲しいお知らせがございます。
 
 
あんだけ見た目の若さを誇ってきた私ですが
最近、苦労が重なって
 
ゴ ゴ ッ と 老 け ま し た !
 
 
何かもう、タルミが一気にキたよ。
実年齢と見た目年齢が、ほぼ同じになったよーーー。
 
ババアの若さは、ちょっと突ついたらはじけるシャボン玉と一緒。
フワフワ、ジワジワと徐々に徐々に落ちて行き
ペチッと破れて、The End。
ポエム調に言えば。
↑ ここの行、全部ハ行
 
 
さて、ここで突然クエスチョン。
このブログで、マリー・アントワネットのウソ伝説が
何回言われているでしょう。
 
答. 知らねえよ。
   また今から言うし。
 
ほんとババアの若さなんて
牢に入って一晩で白髪になるような、儚いものだったのね・・・。
メルヘン風味を混ぜて言えば。
 
 
でさ、老けた私がどういう心境か、っちゅうと
「それどころじゃないんで、どうでも良い」
ってのが、現在の本音。
 
これで全方位まんべんなく幸せになって
心に余裕が出来れば、己のツラを顧みる気にもなるかも知れんが
そういう時代はもう来ない気がする・・・。
 
何気にえらい悲しい事を言うとるようだが、大丈夫。
パンドラの箱の底の隅には、希望があるそうだ。
 
箱丸々一杯の苦労のあげくの、たった1個の希望・・・
“希望” って事は、現実ですらないわけだ。
 
誰だよ、最初にこの話をして良い事を言った気になったドアホウは!
 
 
いつもに増して、荒れ狂っているのは
夏バテに生理が重なって、腹まで壊して
大きな鎌を持った黒マントの怪人が、窓の外をウロウロしとる気がするからだ。
 
♪夏はババアの寿命を奪っていくの、ご用心♪
この歌の元がわかるヤツも、またババア!
 
 
で、老けた私の本音な。
ものすげえ美容に時間とお金をつぎ込んできたわけだが
“自分が老ける” というのを、具体的には想像していなかった。
 
ただ漠然と、老けたらどうしよう、と恐かっただけ。
自分はいつまでも、同年代よりは若々しく
特別な存在ヴェルタースだと思っていたさ。
(ヴェルタースも、いらんCMをしたせいで一生言われ・・・)
 
と言うか、自分の老けた姿なぞ、想像できんよな。
絶望するもんな。
 
 
それが、実際に老けたら、まったく堪えなかった。
 
鏡を見るたびに、何じゃこりゃあああああ!!! とは思うけど
年齢を考えると、まあ、こんなもんか、と
驚くほど冷静に受け止められるんだ。
 
ナチュラルとかエコとか大っ嫌いだけど
じゃあ自分の老化をどうしたいか、と自分に問うと
自然で良いんじゃないかなあ、と素直に思える。
 
ここ部分の自分の心理は、自分にもわからないけど
恐らく私は、自分がどう変わっても
それを自分に納得させられる機能を持っているんだと思う。
 
多分、これが “プラス思考” というやつじゃないかな。
そうか・・・、ポジティブって詐欺師的思考の持ち主か・・・。
 
 
ごめんな、美容美容言ってきて、こんな結末で。
でも美容は趣味だから、今後も楽しむぞ。
 
若く美しく頑張ってる素敵な私、の話は美魔女のところにでも行け。
ここには、地ベタを這いずるクソババアのリアルしかねえぜ。
これからも現実ビューティーをするわよ、ほーほほほほほ
 
んでな、私の客観的な目では、私・終わった、と思うんだけど
周囲に言わせると、「全然だよ」「まだまだだよ」 なので
(私が騙されてなければ)、人は人を凄え甘い目で見ていると思うぞ。
だから、周囲の目をそれほど気にしなくても良いんじゃないかな。
 
 
本音の最後は、あんまり言いたくない事なんだけど
老けて、ちょっとは落ち込むかな、と思っていたんだけど
それどころか、「こんなババアがこれをしても誰も見てないよね」 と
以前より自由に振舞えるんだよ。
 
いいいいいいや、違うぞ! 犯罪系じゃねえって。
ただ昔は自意識が邪魔をして、公園でのんびり~とか出来なかったのが
今は、「よっこいしょういち」 とベンチに座れるんだ。
このギャグを知ってるヤツも、またババア!
 
そういう行動面で、何ちゅうか、枷がちょっと軽くなったって言うか
「良いじゃん、年寄りなんだしー」 という防御呪文を貰った気分。
 
・・・ババアが図々しい理由がわかった・・・。
 
 
 

評価:

白元


¥ 208

(2004-02-09)

コメント:これ、全部紙で出来てるんでカブレにくいんだと。 他の大型ナプキンに重ねて使えば、漏れもガードできるってよ。 ただ、なるべく流さない方が、排水溝も安全。 他のゴミが密かに詰まって、一時的に流れが悪く場合もあるんで、要注意だぞ。

継母伝説・二番目の恋 13

王が寝室に入ってくる。
公爵家の娘は、お辞儀をして迎える。
 
召使いによって、ドアが静かに閉められた後
王は公爵家の娘の前を通り過ぎ
部屋の向こうのドアへと歩いて行く。
公爵家の娘も、顔も上げずにお辞儀をしたまま王を見送る。
 
 
王が隣室へと消えたのを見届けた後、公爵家の娘はベッドに入り
自分とランプを毛布で覆う。
明かりが漏れないように。
 
明日の会議は大事なのに
今日一日を、王妃に付き合ってムダにしてしまった。
 
あたくしは一応は教育は受けたとは言え
情勢は刻々と変わっている。
ひとりで隠れて学ぶのは大変だわ・・・。
 
 
あくびをしながらも、書類を読む。
ふと気が付いたら、外が薄ら明るくなっていた。
 
ああ・・・、マズい・・・、少しは寝ておかないと・・・。
公爵家の娘は、書類を隠しランプを消しベッドにもぐった。
 
 
「姫さま、姫さま」
召使いが声を掛ける。
「・・・もう起きる時間なの・・・?」
 
身支度のために鏡の前に座る。
髪も顔も手も足も、すべてそれぞれの専属係がいる。
公爵家の娘は、ただ立ったり座ったりするだけ。
 
「目の下のクマが気になるわ。
 もっと紅を。」
公爵家の娘の指示に、メイク係が筆を振るう。
 
「今日はお風呂でパックをさせていただけますか?
 お肌が少々お疲れのようですから。」
「ええ・・・、お願い。」
 
後ろでドレスや靴を持って控えている召使いたちが
クスクスと笑いながら、ヒソヒソと言う。
 
「寝不足でいらっしゃるのだわ。」
「姫さまはお綺麗な上に賢くてらっしゃるから
 王さまから寝せてもらえないのよ。」
 
 
聴こえているわよ・・・
あなたたちは単純で良いわね・・・
 
召使いの言葉で、公爵家の娘の心はいちいち動かない。
それが貴人というものだ、と育てられたからである。
 
だけど思った以上に宮廷は・・・
いえ、そんな事を考えていたらいけないわ。
あたくしは公爵家の娘なのですから。
 
 
公爵家の娘はスッと立ち上がり、足を踏み出した。
何も言わずとも、公爵家の娘の歩む方向のドアは次々に開いて行く。
 
だって、あたくしは公爵家の娘なのですから!
 
 
 続く 
 
 
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犬くんとおねんね

愛犬家の私が、結婚期間中に
アフガンハウンドとゴールデンレトリーバーと暮らしていた時の話。
 
普段、犬たちは犬部屋の中のバリケンネルで寝るのだが
盆正月等に元夫が懇願した時などだけ
居間に布団を敷いて、たまに一緒に寝ていたのである。
 
私はこの行事が大嫌いであった。
愛犬家の言葉とも思えないであろうが、ただでさえ不眠なのに
犬と一緒に寝てたら、夜中に起こされてたまらないからである。
 
 
アフガンは “一番上等なところ” に陣取る。
それが、アフガンの特性なのだそうだ。
布団を敷いた場合、それが私の胴体上なのだ。
 
犬ごときにでも (愛犬家?)、良い評価をされると素直に嬉しいが
この場合の高評価は、“敷布団” としての評価なので
「ふざけんな! 向こうに行け!」 と、追い払うのだが (愛犬家?)
夜中に苦しくて苦しくて目を覚ますと
ちゃっかり舞い戻り、優雅に人の体の上でお休みになっていらっしゃる。
 
 
ある時など明け方目を覚ますと、目の前に金髪の後頭部があった。
「何で隣に外人が!!!!!!!!」 と、激しく動揺し
恐る恐る覗き込むと、アフガンだった。
 
こいつは私を叩き落し、自分の頭を私専用の枕に乗せて
伸び伸びと熟睡なさってたわけだ。
掛け布団も、どうやったかはわからんがしっかり肩まで掛けていた。
 
もちろん 「おめえ一体何様だよ!」 と、放り出したが (愛犬家?)
酒に酔わないせいで経験のなかった、“朝起きて知らない人と寝ていた”
という過ちをした瞬間の気分が、何となくわかったのは収穫だった。
 
↓ この話を裏付ける画像発見 
 
 
 
 
このようにアフガンは呼ばずとも勝手に布団に来るが
ゴールデンは 「寝るよー」 と声を掛けても
遠くに座って、目を細めてウジウジしていて動かない。
 
ああ、また何か被害者ぶってるよ・・・と、放置して寝ると
数分後にチャッ・・・チャッ・・・と、音がする。
ゴールデンがこっちにゆっくり歩いて来る足音である。
 
布団の上に寝転ぶのかと思いきや、枕元でジーーーッと立っている。
その鼻息が、ブシューブシューと顔に拭きかかり
時々鼻水のしぶきまで飛んできて 「もう!」 と、向こうに押しやると
またそのまま立ちすくんでくれて、ほんと心霊現象のようで恐い。
 
しょうがないので起きて、「布団の上に寝るんだよ」 と
体を抱えようとすると、ウ~~~ッとうなって威嚇する。
 
 
それでも何とか布団の上に押し倒すと
何をハマり込んどるのか、今度は押し倒された時の姿勢のまま
仰向けで両手両足4本を天に向かって突き出したまま、固まっている。
 
もう、こいつが何をしたいのか、まったくわからんので諦めて寝ると
数分後にいきなり、立とうとジタバタし始め
手がガスッと当たり、足がポスッとめり込み
人を散々殴る蹴るしたあげくにやっと立ち上がり、またその場で立ちすくむ。
 
時々スイッチが入る何かの機械のようで、とても不気味である。
その間アフガン様も元夫も、我関せず特等席で高貴にご就寝。
 
 
こんな事を何度か繰り返したが
ゴールデンの心情がまったく理解できなかったので
構わずに寝るようにしていた。
 
そしたらある朝、ビビッビビッという不穏な音で目が覚めた。
何だろう・・・と寝ぼけつつ体を起こしたら
なんと、ゴールデンが布団を引き裂いていた!!!!!!!!
 
時計を見ると朝の5時前。
自力でどうにかしようと思ったが
布団は人体解剖のように、中央から縦に切られており
そこからものすげえ軽ろやかそうな羽毛がワラワラと顔を出している。
もう、眠気も一瞬で吹き飛んだが、羽毛はもっと吹き飛びそうである。
 
ヘタに動かしたら、羽毛が部屋中に舞い散って大変な事になる、と瞬時に判断し
ブーブー言う元夫を叩き起こし、何とか布団を丸ごとゴミ袋に詰め込んだ。
 
この事件以来、二度と犬とは寝る事はなくなった。
 
 
破かれて使いものにならなくなった羽毛布団は、元飼い主である私の実家に
「ゴールデンが羽毛布団をムチャクチャにしてくれた」 と、グチをこぼしたら
後日、5倍ぐらい良い物がデパートから送られてきた。
ちょっとゴールデンに感謝した部分があるのも否めない。
 
 
寝苦しくて目覚めた朝、ふと思い出した昔の話。
 
私、どんどんババアになるから、昔話を何度も繰り返すようになるからね!
(何の恫喝やら)
 
 
 

評価:

西川産業


¥ 39,900

コメント:破れた5千円のマットレスを買い換えたいんだが、これ良いなあ。 約4万円か・・・。 歳を取ると寝ている時も鈍くなるようで、寝相が悪い私でも、ずっと同じ姿勢で固まって動けなくなったりするんだよー。 寝具、大事だとつくづく思う。 4万か・・・。

継母伝説・二番目の恋 14

公爵家の娘の日々は多忙だった。
王妃の代わりに政治の勉強をし
それを交友しているように見せかけながら、王妃に教え
その上に宮廷内の社交までこなさねばならない。
 
これで本当に側室だったら
王の夜の相手までしなきゃならないのだから
それがないだけでもラクだと思うべきね
 
公爵家の娘は、ソツなくこなしているつもりだったが
生真面目な性格ゆえか、頑張りすぎていて
それを自分では気付いていなかった。
 
公爵家の娘には、王妃を陰ながらフォローする、という
王の期待に応える事しか
自分のプライドを維持する道がなかったのである。
 
 
「あたしのお友達、大丈夫?」
王妃の心配も、公爵家の娘にはイラ立ちの原因にしかならなかった。
 
こんなバカ娘にまで気遣われるほど
あたくしは疲れて見えるのかしら?
 
「もっと粉を!」
メイク係に怒鳴る日々が続く。
 
 
いつものように、会議の前のおさらいに王妃の部屋へ行く。
諦めずに教え続けてきたお陰で
最近の王妃は、会議中のボンヤリがなくなってきつつある。
 
このまま政治を、いえ、せめて慈善事業ぐらいは覚えてもらえたら・・・
公爵家の娘は、その日の会議の議題を王妃にわかりやすく伝えるために
会議前には必ず、王妃の部屋に “お茶” をしに行くのである。
 
 
その日は、王妃がお茶を淹れた。
また自分の身分を忘れて、下々の仕事を・・・
内心苦々しく思ったが、公爵家の娘は怒り疲れていた。
 
怒りたくて怒っているわけではないのよ
なのに怒られる側がいつも被害者ヅラ。
怒られる事をするから悪いのに・・・
お茶が入るのを待つ時間も、イライラの種が尽きない。
 
 
と、そこにフワッと花の良い香りが漂った。
「これ、あたしの国の花のお茶。
 どうしても、栽培できない。
 自然の中でしか生きられない。
 10年に1度しか咲かない。
 その花の花びら、飲める人、とても少ない。
 この前、あたしの国から大臣が来た時に
 送ってくれるよう、頼んだ。
 やっと届いた。
 良い香り、美味しい、あたしのお友達に飲んでほしい。」
 
「それは貴重なものを・・・。」
この説明に、さすがの公爵家の娘も恐縮した。
 
 
カップを口元に持っていくと、甘く丸い香りに包まれる。
ああ・・・、良い香り・・・
 
「このお茶、疲れを取る。 グッスリ眠れる。
 あたしのお友達、疲れるの、あたしのせい。
 だから、お茶、淹れた。」
公爵家の娘がお茶を飲むのを、嬉しそうに見つめる王妃。
 
 
・・・良い子ではあるんだけど・・・
公爵家の娘は、複雑な気持ちであった。
 
政治は良い人では勤まらない。
王に嫁ぐ事自体が、それはもう政治なのに。
 
 
 続く 
 
 
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ババアと有効距離

老化報告 12.7.5 で、敗北宣言をした私は
やさぐれの真っ最中で、服などどうでも良い心境にまで落ちていたが
まさか裸で徘徊するわけにもいかないし
時は、年に一度の夏のバーゲン。
 
ババアで貧乏でブサイクで頭が気の毒で性格が悪いので
バーゲンでしか良い服を買えないのも、しょうがねえよな
と、とことん反抗的な気分で、デパートに行ったさ。
 
 
私がデパートが好きなのはな
短距離間内に多くの店があるからなのと
ヘンな店員さんがいないからだ!
 
特にデパートのショップは、とことんチヤホヤしてくれるので
気持ちアゲ目的で、毎日でも入り浸っていたいのだが
財力がハンパなく、I have no money なので
夏冬のバーゲン時だけ出没する、貧乏神化になっておるんだ。
 
 
ここでまたひとつ、心が地面にメリ込む話をしよう。
大抵のデパートでは、女性のファッション売り場が3~5階あるのだが
年齢が上がると、適応売り場も上の階へと上がっていく。
階が上がるにつれ、服の値段も上がっていく。
 
この国では、ババアは裕福前提!!!
 
私なんか、もうファッションフロア最上階の住人なので
冗談抜きで、バーゲンしかも50%OFFの時しか
買いに行けないのだよ・・・。
 
 
と言う事で、初手からファッションフロア最上階に直行した私。
グルリと全体を回って、良さげなサマーニットを見つけた。
 
接客に来てくれた店員さんの年齢や服を見て
うん、私はここで服を買って良い、と確信。
 
「何かお探しですか?」「ええ、半そでニットを」
ここまでは通常のやり取りなのだが、こっからが転落。
「贈り物ですか?」「? いえ、自分用ですが。」
 
あー、これ半そでじゃないんですねえ とか言いつつ
服を広げて見ている私の横で、店員さんが何か言いたげ。
 
「これ、どうですか?」 と、体に服をあてて訊くと
「とてもお似合いだとは思いますが、入りますかね?」
え? とプチパニくり、「入らないですかね?」 と質問に質問で応えると
「ここは小さいサイズの売り場なので、お客様には入らないかと。」
 
そこでハッと気付く。
その店員さんを見おろしている事に。
店員さん、ものすごく小さいのである。
 
「あー、それは失礼いたしましたー。」 と謝ると
店員さんは、普通のサイズ売り場まで案内してくれたさ。
 
 
・・・ここで終わらないのが私。
他のショップで、「これ、良いですねー」 と服を広げていたら
「はい、とてもお似合いですが、ここは大きいサイズなので・・・。」
 
これ、ネタじゃなくマジで。
服はゆったり着たいので、LやLLを着ているから大丈夫だろと思ったが
専門的?な大きいサイズの売り場だったらしい。
 
ここでも、ほんとすいませんほんとすいません、と
“普通” のサイズのところに連行されて
ほんと、ボケ老人の迷子誘導のようで情けなかったぜ。
 
 
皆、今はサイズで売り場が分かれているデパートもあるみたいだぞ。
・・・いや、昔からあるのかも知れないけど
昔は買うブランドを決めてたんで、気付かなかったんだ。
 
気付いた今でも、デパートでは物欲に目の色が変わるので
周囲が見えていないで、また同じ過ちを繰り返すのが私だがな。
 
好きなブランドのことごとくが、年齢に合わなくなって
知らなかった上層ブランドの名前を覚える記憶力も低下したので
漂流買いになってしまい、無差別購入をしているのだが
ブランドに頼れない上に微妙な年齢って、難しい!!!
 
 
・・・ここまでが前置きだったら怒る?
今回はやたらボケを連発したので
ここで報告しないと何のために恥をかいたのか
 
いや、ブログを書くために恥をかいてるわけじゃないぞ!
 
 
でな、ナイスバディーの私は、大抵の服は似合うんだよ。
首から下だけ見ればな。
 
顔のつくり、ファッションと大いに関係あるよな・・・。
貧相な顔だと、フリル系やフェミニン系が似合わねえ似合わねえ。
好みが軍服系だから良いけどさ。
 
そんな私が試着をしたら、全似合いお買い上げ決定なのは当たり前。
そこで必ず数着は着てみる。
一番似合うのを店員さんに選んでもらえば、間違いない。
 
 
今回は、ババア入門で卑屈になっていたので
店員さんに、「私、○歳なんですが、これ、許されますかねえ」 と
ほんとすいませんほんとすいません的に弱腰に。
 
すると店員さん、「お客様、実年齢より見た目年齢で考えるべきですよ。」
その見た目年齢がアウトコースになったから、終わったんじゃん!
と、イライラしつつも、試着して鏡の前に立つと
 
あれ? 私、すっげえイケてる?
 
 
ここで注意を。
服屋さんの鏡はちょい縦長に映るので、誰でもステキに見える。
つまり私なら、もんのすげええええええ格好良く見えるのだよ。
そこを差っ引いて、落ち着いて考えねばならんのだ。
 
ここらへんは、いつもとても冷静に見るのだが
今回も、いつもと変わらずお似合いで格好良い。
 
どういう事だろう??? と、しばし鏡の前で悩む。
店員さんに3着の中から選んでもらったのは、一番若々しい服。
 
帰宅して洗面所の鏡の前で着ると、似合ってるけどババア。
それを着て、スーパーのガラスに映ってるのを見ると、すんげえ格好良い。
 
もうわかったな?
 
歳を取ったら、通用する距離が遠くなるのだ!!!
 
20代なら、友人との30cm距離でも大丈夫。
30代なら、1mは間隔を取りたい。
歳を重ねる毎に、その距離が伸びて
今の私は、3mあれば何とかまだ “女の土俵” に立っていられるようだ。
うん、多分まだ3mでイケるはず。 いや、4か・・・?
 
 
若い頃は、唇! 目! と小さいパーツで勝負できてたものが
乳! 尻! と、アピール部分が大きくなり
歳を取ると、どんどんマクロの世界になっていって
「全体的雰囲気で何となく見て!!!」 になるのだな。
 
つまり、ババアはトータルファッションに命を懸けるべし!
髪も肌も服も靴もバッグも、全身で捉える必要があるのだ。
 
そうか、女性は誰しも、この時に向けて経験を積んでいくんだな・・・。
ババア・人体グローバル化、ヒイイイイイイイッッッ
 
 
鏡と5cm距離で皮膚を見つめて、肌の手入れをして
毛穴隠しに奔走してたんだから、早くこれに気付くべきだったのに
途中で “お手入れしないお手入れ” とかに行ってたもんで
そのまま、ミクロの世界に漂っていたんだよなあ。
 
時々外の鏡でふいに自分を見て、おお! 格好良い! とか
自画自賛している割には、そこまで気にしてないっつーか
ザツな性格だもんで、その時に調子に乗るだけで終わって
深く掘り下げなかったのが、私のクソバカ野郎なとこだよなあ・・・。
 
 
皆、もう気付いてるかも知れないが
年齢とともに、自分のアピール面積を広く考えて
大事な人とは距離を取って接するようにな。
性交渉は暗闇の中のみでだぞ。
 
ババアは遠目で勝負!
 
 

評価:

金曜日


¥ 1,050

(2005-04)

コメント:この類の本は、自分の意見を構成していく過程で出会うひとつの説、として捉えるべきだと思うんだ。 人生にソースはない。イカリじゃないぞ。 自分が経験してきた事をベースに、勘で選択していくしかないんだ。 そのために色んな事を見聞きし続けようぜ。

継母伝説・二番目の恋 15

会議が進む最中、公爵家の娘は苦戦していた。
書類の文字が、どんどん薄くなり2重になるのだ。
 
寝てはダメ!
テーブルの下で、腕を思いっきりつねる。
だけど、睡魔は去ってはくれない。
 
 
あくびをかみ殺している時に
ふと窓の外に鳥が飛んでいるのが目に入った。
 
あの湖でも鳥が空を舞っていた。
湖面に青い空と新緑の山が映るのを、太陽の光が輝いて消す。
何て美しい風景だったのでしょう
この国を空から見下ろしたら、どんな光景なのかしら
 
 
唇に何かが触れ、公爵家の娘は我に返った。
王の顔が目の前にある。
 
「ここのところ、わしが寝せてやらなかったから疲れておるのだ。
 すまぬ事をしたな。」
 
唇を離した王が前に向き直り、ヌケヌケと言うので
臣下たちが苦笑いをする。
「いやいや、これはご馳走様ですな。」
「ほんに美しい姫さまたちに囲まれて、羨ましい事で。」
 
 
公爵家の娘の唇に、初めて他人の唇が触れた瞬間だった。
だが公爵家の娘は、赤くならずに青くなった。
 
自分は会議の場で眠りこけていたのだ!
 
あたくしとした事が・・・
慌てたかったが、悠然と書類を見直す。
うろたえてはならない。
王さまがかばってくださったのだから、それを無にしてはいけない。
 
 
会議に何とか耐えた公爵家の娘が、自室に戻ろうとすると
ベイエル伯爵が待ち構えていた。
 
「公務に支障をきたす程の、王さまの熱心なお通い、ご苦労様ですな。
 でもあなたの一番の仕事は、政治への口出しよりも
 世継ぎを産む事ではないですかな?
 おっと、失礼、王さまには王妃さまがいらっしゃいましたな。」
 
嫌な笑みを浮かべながら、ベイエル伯爵は去って行った。
何なの? あやつは!!!
頭に血が上った瞬間、目の前が真っ暗になった。
 
 
気付いたら、自分のベッドに横たわっていた。
着替えも済ませてある。
 
「お気付きですか、今、王さまがおいでになられます。」
召使いの言葉が、よく理解できない。
 
 
程なくして、王が部屋に入って来た。
その時になって、ようやく事態が飲み込めた公爵家の娘。
そう、王は “お見舞い” に来たのである。
 
「王さま! この度の失態、幾重にもお詫びを・・・」
起きようとする公爵家の娘を、王が止める。
 
「起きずとも良い。
 そなたは、しばらく休養を取れ。
 王妃の分も無理をしてくれたのであろう、すまぬ。」
王の謝罪に、王妃への愛が感じられる。
 
 
しょうがない・・・
この国の王が詫びてくれるのだから、臣下はそれに応えるのが使命。
 
「いえ、あたくしが休むと、身篭ったと誤解されかねません。
 そうなると、益々王妃さまのお立場が苦しくなります。
 あたくしは単なる寝不足なのですから
 それをお詫びして、明日から通常通りに動きますわ。」
 
その言葉に、王は本当に頭が下がる想いだった。
「そなたは・・・。」
 
 
王は公爵家の娘の努力を知っていた。
何故なら朝方に自室に戻る時に、この部屋を通るからである。
その時に公爵家の娘は、書類を枕に居眠りをしている。
 
いつも王がどこから帰っているのか、気付かない公爵家の娘も
しっかりしているようでいて、とんだ片手落ちではあるが
その天然ボケは、王を苦しめた。
 
自分の我がままのフォローのために
陰で無理をする人間を目の当たりにして
平静でいられるほど、冷血ではなかったからだ。
 
 
しかし、わしはこの国の王。
すべてのものの主なのだから。
 
王は公爵家の娘への感謝を、表立って出さなかった。
それは王に生まれついた者の、プライドと糧。
 
 
「それでは、わしは出来る限りこの寝室を通ろう。
 そなたの疲れの言い訳が立つようにな。」
「恐れ入ります。」
 
公爵家の娘は無表情で頭を少し下げた。
 
 
 続く 
 
 
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      継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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      小説・目次

チャック

“ファスナー”“チャック”“ジッパー” と、呼び方が様々だけど
どれが商標で、どれが正式名称だよ?
と調べてみたら、全部商標だった・・・。
 
“ファスナー” と “ジッパー” は外国の会社
“チャック” が日本の会社らしいので
タイトルを即座に、“ファスナー” から “チャック” に変えた。
だって何でも日本が一番なんだ、私は。
 
 
ここで疑問が生じる。
“チャック” というのは、広島の会社。
由来は “巾着” の “ちゃく” だそうな。
 
と言う事は、いまや世界シェアをかなり誇っているであろう
YKKは、“チャック” とは呼んでいないのでは?
 
と言う事で、YKKのHPに行ってみた。
 
・・・・・・ファスナーと呼んでおる・・・・・・。
おめえら、日本の会社同士、協力し合ってくれよ・・・。
 
 
ここで面白い情報を入手。
各国のチャックの呼び方。
 
フランス =“フェルメチュール・ア・グリシェール”
中国 =“ラーリェン”
中米 =“シェレス・レランパゴス”
 
中米の呼び方は、“稲妻” という意味らしい。
稲妻といったら、レビンだよなー。 86じゃねえぞ、71!
 
 
ところで、YKKで私はひどい目に遭った事がある。
若い頃、トラック乗りの彼氏がいた。
そいつがYKKにサッシを運ぶのに、私も付いていったんだ。
 
彼氏が事務所で書類の受け渡しをしている時に
倉庫には私だけになった。
 
入り口に立っていた私が、不穏な雰囲気を察知して振り向くと
何のポルターガイストなのか、立てかけていたサッシが
静かに倒れようとしているではないか!
 
慌てて走り寄って、サッシを止めようとした私は
集団アルミをナメていた。
 
紙だって、2mの高さの量じゃ重いに決まっている。
何枚のアルミサッシが倒れ掛かっていたのか
手前で支えている私には数えられなかったけど
私はスローモーションで、ゆっくりゆっくりと静かに倒れていった。
 
もう、グググググーーー、って感じで、のしかかってきて
私の支え <<<<< アルミサッシ’S で
最悪なのは、圧勝じゃなくジワジワと勝つ、みたいな底意地の悪さ!
 
ヘルプヘルプ叫んでたら、彼氏とYKKの人が来てくれて
体半分サッシの下敷きになった半泣きの私を見て
大の男ふたりがしてくれた事は、まず大爆笑!
 
ひとしきり笑った後に、ようやくセクハラサッシ’Sを
取り除く作業に取り掛かってくれたんだけど
YKKの人が、これまた笑いながら言う。
 
「お嬢ちゃん、何やってるの
 サッシもたくさんあると重いんで、遊んでたら危ないよ。」
 
・・・・・・・・・・おめえらが、ちゃんと立てなかったから
崩れてきたんだろうがあああああああああああっっっ!
私は指一本触ってねえ。
てか、サッシに傷が付かないように支えようとしたのに!
 
何十年も前の話だが、YKKは私への形ばかりのお詫びに
祖サッシぐらい送ってきてほしい。
 
 
えーと、何の話をしようとしてたのかな。
・・・・・・・・・・
ああ、チャックね。
 
実はこの記事はYKKへの苦情一色なんだ。
と言うのも、うちのチャックのほとんどがYKKでな。
 
チャックって何であんな縫い方なわけ?
マチって言うの?
チャックのとこの布、短すぎねえか?
布が新しい内は良いけれど、使い古してヨレヨレになったら
チャックを開け閉めする時に、噛む噛む噛みまくる!!!
 
特にシーツ!!!!!!! (これも、もちろんYKK!)
 
チャックの開け閉めが億劫なんで、洗濯したくなくなるんだよ!
ジワ~~~ッと注意深く開けているのに
集中しすぎてフッと気が遠くなる瞬間を狙って、キッチリ噛みやがる。
古くなったチャックは、ほんと私を出し抜くのが上手いぜ。
 
もう、布団カバーはチャック式じゃなく
かぶせ方式のを探す。
 
YKK、おめえのせいだからな!
工夫大国ニッポンの会社なんだから、どうにかしてくれよー。
 
 
なお、ここに出てくる会社名は、実在しない。
YKKは、Y.K.K. なんだよ、うへへのへー
 
と言うのを楽しみにしていたのに
念のためにYKKのHPを再確認したら、“.” が付いてない・・・。
 
あれえ???
何と勘違いしてたんだろう???
 
 

評価:

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コメント:これだよ、これこれ。 こういう、かぶせるだけの簡単シーツが欲しいんだ。 もう、チャックで噛み噛みはいやん・・・。 掛け布団で、簡単系が見つかりにくいのが目下の難点。 皆、シーツ革命を起こして!

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